世界にほこる日本の工芸品が、国立工芸指導所の精神を受け継ぎつつ、どのように世界に挑戦するのか。本展ではこのような点に着目し、これまでの、そしてこれからの工芸を考えます。
明治時代、日本政府は殖産興業・輸出振興政策の一環として、積極的に日本の工芸技術を世界に向けて発信し、世界的にも大きな評価を得るまでにいたりました。
その後、昭和3年に国立工芸指導所が国内で初めて宮城県仙台市に設置されます。
この組織は、工芸の近代化、産業化の推進と東北地方の工芸業界の発展をめざした活動を行い、工芸界やデザイン界をリードする組織とし、昭和40年代まで活動が続けられました。
その活動は、まさに日本におけるインダストリアルデザインの原点の活動の一つとして位置づけることができます。
本展では、国立工芸指導所で試みられた日本のインダストリアルデザインの出発点となった伝統工芸品に注目し、この素晴らしい技術を次の世代にどのように継承するのかについて考えます。